インフルエンザの流行と救急受診の増加

今年は広島でのインフルエンザの流行が早いようです。

数週間前に大竹のほうが学級閉鎖しそうとか、竹原で流行しているとか聞きました。

 

自分は病院勤めであること、転勤を繰り返しているので地域の傾向は正確にはわかりませんが、ここ数年は年末に出始めるか流行が始まるくらいで、本番は年明けか、「冬休み」という名の学校閉鎖により対して流行せずに終わるという印象でした。

新型インフルエンザが流行した時には舟入病院では6時間待ちになったこともあるとか。おそらくは年末年始の繁盛期に重なったからなのでしょうが…

 

インフルエンザへの対応というのは理想と現実のバランスで成り立っています。

一般的にも知られている特徴として、

  • 健康な人にとってはインフルエンザは重大な病気ではない(30年前には抗インフルエンザウイルス薬はなかった)。
  • 抗インフルエンザウイルス薬は発熱48時間以内に使用することで回復を1~2日早める。
  • 旧来のインフルエンザ迅速検査は12~24時間以内では感度(インフルエンザ患者を見つける能力)がそれほど高くない。

といったものがあります。

欧米(特に米)は日本より、コスト効果が重視され、日本ほど自由に受診できない国が多いため、インフルエンザの検査も、抗ウイルス薬も基本的に使わないという考え方になるのでしょう。アメリカのコスト重視で、そのためにエビデンスを作るような医療の在り方にはどうかと思う人もいるでしょうが…

ただ、少なくとも、脳症や重症肺炎となっていなければ緊急疾患ではないので、特に熱が出たばかりの人に急いでインフルエンザの治療をする必要はなく、時間外の急患ではインフルエンザを検査する必要はないという考えがあります。早期に迅速検査をしたが、正確性に欠けるためにもう一度検査をしたとなったら検査費用が2回必要という事実もあります。

東京都立小児総合医療センターという小児の有名病院のHPには、ERにおける救急受診について

インフルエンザの迅速検査は、原則実施いたしません。詳細については、下記をご覧ください。

http://www.byouin.metro.tokyo.jp/shouni/gairai/tiryouhoushin.pdf

 という記載があります。この病院は抗生剤内服についても厳しく、フロモックス、メイアクトなどの第3世代セフェムと呼ばれる、日本では非常によくつかわれる薬も基本的には使用しない制度となっています。

 

ただ、現実の市中病院では…

患者さんの数が非常に多いとき、時間外救急診療をしているときには、都立小児のように明記されていれば別ですが、インフルエンザ検査目的の時間外受診の不要性についてしっかり説明する時間も気力もないことが多いと思います(本当に同じような患者さんばかりです)。すると、希望通り検査し、陰性なら対症療法を、陽性なら抗ウイルス薬を出すというほぼ機械のような作業をやりがちです。残念な対応ではありますが、診療は早くなります。

この診療高速化の手段に抗生剤処方(「とりあえず抗生剤を出しておきますね」)というものもあり、日本において抗生剤が濫用される原因のひとつとなっています。

 

なにはともあれ、流行しないのが一番なんですけどね…